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本日の映画:毛皮のヴィーナス

「毛皮のヴィーナス」('13・フランス)

登場するのは男ひとり、女ひとり。
場所も変わらず、ずっと話を続けるふたり。
私の好きな、場所も変えずにずっと話すふたり、の作品です。

初めて自分で演出と脚本を手がけた「毛皮を着たヴィーナス」の
オーディションが残念な結果に終わり、意気消沈のトマ。
まぁ、とりあえず帰るか、と思った時、
ひとりの女性が劇場に入ってきます。
主役と同じ名前を持つ彼女。
「遅刻してごめんなさーい」
「いいでしょー雨の中、せっかく来たしー」
な感じで無理やりオーディションを始めちゃう。

彼女=ワンダは、なりきるための衣装も用意してきたらしく、
さっさと着替え、トマにも着るように指示。
乗り気じゃないトマは「オイオイオイ」な状態だけど、
台本を読み始めたワンダを見てびっくり。
結構いける。
トマ、かなり彼女に興味を持ったらしい。

物語が進むうち、あら?
だんだん「それって演技?」みたいになっていく。
途中入るトマの恋人(妻?)からの電話で一瞬現実に戻ったり、
ワンダがワンダにふと戻ることがあるんだけど…
ここはどこ?
わたしはだあれだっけ?
という世界に入り込むふたり。
それはエスカレートし始めて…

トマには”そういう”願望が隠されていたのか。
「毛皮を着たヴィーナス」は、
マゾヒズムの元祖、ザッケル・マゾッホの小説。
ワンダは「ただのエロ」だと言い放ったけど、
トマにとっては「究極の愛の物語」。
ワンダの演技に乗せられ、快楽の世界に思わず入り込んじゃったトマ。
明日からは今までと違う人生になりそうね。



そんな影響を与えたなんて知らないんだろうな、ワンダ。

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