本日の映画:家族の灯り

「家族の灯り」('12・ポルトガル=フランス)

原作はポルトガルの劇作家、ラウル・ブランダンの戯曲、とのこと。
それをマノエル・ド・オリヴィラ監督が脚本を執筆し映画化。
だからなのか、映画を見ているというより、演劇を見ている感じ。
舞台はほぼずっと家の中。
人が増えたり減ったり、続く他愛のない会話、と思ったら事件。
でも過剰な音楽やすべてを説明するセリフはなし。
それなのにドキドキする。このハラハラ感。

長く帳簿係の仕事をしている年老いた男、ジュボは、
妻、ドロテアと、息子の妻、ソフィアと3人、慎ましく暮らしている。
息子、ジョアンは、というと、8年前に失踪していて、
ドロテアはそんな彼の身を案じ、帰りを待ち続けている。
でも実はジュボは失踪の理由を知っていて、それを妻には秘密にしていた。
もちろんソフィアにも口止め、それはドロテアを殺してしまうから。

生活の不安と息子の不在。
彼らの日常には常に”貧しさ”がある。
そしてある日突然戻ってきたジョアン。
夫を待っていたソフィア、息子を溺愛するドロテアは歓喜に湧く。
けど…

嗚呼、ジュボ。
その事件をひとり冷静に見つめ、解決しようとしたジュボ。
自己犠牲を厭わない、無償の愛?
そしてまた明日は来る。
余韻を残すけど、それも徐々に薄れていく。



105歳の監督、
お年を召しても美しいクラウディア・カルディナーレとジャンヌ・モロー。
絵画のような映像と、絶望の中に希望があってほしいという願望。

本日の映画:神のゆらぎ

「神のゆらぎ」('14・カナダ)

あれば見る、グザヴィエ・ドラン。
でも今回は監督としてでなく主演のみ。
DVDのパッケージでもそうだし、日本ではドランが主役、
っぽいけど…実はそうではなく。
配給会社の陰謀に騙されるパターンです。

見終わった感想は、邦題がそうであることを忘れてても、
「ゆらいでた」でした。
ちなみに「miraclum」という原題はラテン語で「奇跡」を意味するとのこと。

「時に人はただ奇跡が起きるのを待つしかない」

私もただ待つ人のひとりでした。

ある日起きた飛行機事故。
そして病院に運ばれた、ただひとり生き残った男。
はじめは思わなかったけど途中から、
あれ?この男の人?あれ?だれ?彼?え?違う?え?あれ?
…となります。

3組のカップルと1人の男の物語。
多方向から展開して最後には点と線がつながる、という群像劇。
まずは、生存者が運ばれた病院で看護師として働くジュリーと
そのフィアンセ、エティエンヌ。
結婚を約束しているけど、エティエンヌは末期の白血病。
しかも彼らはエホバの証人。
助かるためには輸血が必要だけど、それはできない。
家族は祈るだけ。
それはジュリーもわかっている。
でも生存者と関わるうちに、彼女の心が揺れ始める。

カジノのバーテンダー、レイモンドは、
ギャンブル依存症の客、マーティンから、
「毎年妻と思い出地、キューバに行く」と聞き、
不倫相手のルイーズを誘おうと考える。
お互い歳をとってからの大恋愛。
飛行機に乗ったこともないレイモンドだったけど、
思い切ることにする。
ルイーズの夫は妻が不倫中なのを知っている。
けどルイーズも誰も何も言わない。

アルコール依存症のエヴァリンは、
夫とのキューバ旅行のため空港に向かおうとしている。
新婚旅行で行った思い出の地。
でも夫婦の関係はずっと前に終わっていた。
確信には触れず、偽りの生活を続けてきた彼女の精神は崩壊寸前だった。

ある過ちを犯し、国外へ逃げていたシモン。
その罪を償うため、ドラッグの運び屋となった。
そしてまた愛する者たちの前から去ろうとする。

祈ればいいってものじゃないけど、
どうすることもできなくて、とりあえず祈るだけ、ってときもある。
私はどの宗教にも属してないけど、
ただ祈るだけ、というときがあった。
誰に対して祈ったわけでもなく、とりあえず祈った。

こういう群像劇を見ると、
テレビのニュースにもならない人たちの、
ちいさなちいさなできごとが世の中にはたくさんあって、
そのできごとが何かの偶然でつながるってこと、いつも起こってるんだなー、
とおもう。
それはたいてい気づかないことなんだろうけどね。



そして私もゆらいでいる。

本日の映画:サイの季節

「サイの季節」('12・イラク=トルコ)

30年もの長い間投獄されていた男、サヘル。
イラン革命が起きた時、詩人だった彼の書いた詩が、反体制、
とされて、逮捕されていたのです。
当時、共犯の罪で投獄されていた妻、ミナは、
獄中で双子を出産したあと、釈放。
そんな事も知らずサヘルは30年間檻の中、
そしてミナは「夫は死んだ」と聞かされていました。

30年前、サヘルとミナは幸せに暮らしていました。
でもそこにはミナのことを愛し、ふたりのことを面白く思っていない運転手、
アクバルの存在が。
(こいつ、ミナが使った口紅舐めちゃうくらいミナラヴ)
いつかミナを自分のものに、と企んでいた彼は、
革命が起きたときの混乱を利用し、官僚の座に。
サヘルを不当に逮捕させ、ミナをレイプし妊娠させたのは彼だったのです。

釈放されたサヘルはまず、ミナが住んでいると知りイスタンブールへ。
彼女を見つけるも声はかけられず。
若い男の家へ入っていく彼女を見て、私も、まさか?と思ったけど。
サヘルのへの愛を持ち続けていた彼女、実はタトゥーの彫師になっていたのです。
愛しい彼の詩を人の体に彫り続けていたのでした。

偶然知り合ったミナの娘達にも真実を告げず、
最後にはミナにタトゥーを彫ってもらうサヘル。
(うつぶせだから顔は見えない)
でも何も言わず。
ミナは気づいた?
でも死んだと信じていれば「なつかしい背中」を見ても、
サヘルに似てるなーくらいしか思わない?

この物語、実話だそうですよ。
セピア色の映像はすごく幻想的で、
ここ最近の話とは思えないくらい。
クルド人女性によるサヘルの詩の朗読も感動的。

何かひとつ違ったら起こらなかった悲しいできごと。
また出会うことで救われるのか?



サヘル役は変更したけど、ミナ役のモニカ・ベルッチはそのまま。
モニカ変幻自在。

本日の映画:ゴーン・ガール

「ゴーン・ガール」('14・アメリカ)

先日見た「ルーム」同様、この「ゴーン・ガール」も
公開当時ザワザワ騒がれていましたね。
そしてこちらも実際に起きた事件が元だと言うことで。
先に鑑賞済みだった友人には、
「とりあえず見て!」
と言われていました。
気になっていた映画、またひとつクリア!です。

そして「ルーム」の時と同じく、
ざらっとした前情報は「妻が失踪した」ということだけ。
これまた、
「実は妻は初めから存在してなかった」とか
「何かに対するふたりの茶番」とか
「こことそこでは次元が違う」とか
いろいろ妄想してたけど、おー、そうきたかー。
こういう話は他の映画やドラマでも見たことありそう。
でもラストが…あ、そこでおわっちゃうの?

ミズーリ州に住む理想的な夫婦。
幸せそうなふたりの5年目の結婚記念日に事件が。
妻、エイミーが失踪。
異変に気づいたのは夫、ニック。
家は荒らされ、血痕が。
これはただ事ではない。

実はエイミー、絵本作家で結構有名人。
警察とボランティアは毎日のように捜索し、
ニックもテレビに出て記者会見を開き、
それは全国に放送、みんなが彼女の無事を祈っていました。

でも警察やマスコミがニックの周辺を調べ始めると…
おや?夫が殺った?
それを裏付けるようなエイミーの日記、
近所の”友人”の証言などなどが次々と出てくる。
ニック=犯人、となってニックパニック。
やってない、と言ってももう誰にも信じてもらえず。

すると画面が一度暗転(したかどうかは定かではない)、
ここまでに至ったエイミーの説明が始まります。
おーこうきたかー。

うまく行ったかのように見えたエイミーの計画。
でも、ちょっとした油断が計画変更を余儀なくされます。
彼女は元恋人の元へ。
こいつがかなり危険な奴で、お金持ちのストーカー。
んでエイミーの事を今でも愛してる。
そんな彼の気持ちにつけ込み、またひと芝居。
うっ、エイミー。
ここまでくるとエイミーほうが”ヤバイ”。
彼女の心の闇が浮き彫りになっていきます。

あんなに「お前だなー」と思われてきたニックが
かわいそうに思えてくるのもこの頃。
呆然とする夫の前に現れた血まみれの妻。
ニックが感じた恐怖がこちらにも伝わってきます。

エイミーは夫の愛を取り戻したかっただけなのか、
それともまた有名になりたかったのか。
理由が両方だとしたら大勝利…
でも夫の愛は取り戻せないでしょ、それじゃ。

ここまでやるってすごい労力、根気が必要だね。
そこまでしても手にいれたい物なのか。
まだ逆上してキレて暴れたほうが健全。



心の中は外見からはわからなーい

本日の映画:ファブリックの女王

「ファブリックの女王」('15・フィンランド)

北欧ブランド、と言えば「マメリッコ!」というほどお馴染みのブランド。
日本でも人気あるよね。
乙女心をくすぐるテキスタイル。
私は好んでは手に取らないけど、くすぐられます。
そんなハッピーなイメージのマメリッコですが、
こんなちょっと”黒い”歴史があったとは驚きです。

舞台で、マメリッコの創業者、アルミ・ラティアの人生を演じることになった女優。
アルミはどういう人間だった?
その心の中は?
悩みながらも彼女は役作りをしていきます。

戦後のフィンランド。
戦争ですべてを失ったアルミは、夫、ヴィリヨが買収した
プリントファブリックの会社で働くことに。
もともと、テキスタイルの仕事をしていた彼女は、
業務用ではなく普通の女性たちが喜ぶようなデザインの布を作ることを思いつきます。
でも布があるだけではその魅力がなかなか伝わらない。
ということで、全財産を賭け、
オリジナルデザインの布を使い洋服を作ることに。
そしてファッションショーを開催。
普通の女性たちが今まで着ていた堅苦しい服とは真逆の、
軽やかな「マリメッコ」の服は、大流行するのでした。

デザイナーがデザインしたテキスタイルは次々と流行を作り、
会社的にも大成功。
アメリカにも進出し、世界的にも成功を収めた「マメリッコ」。
でもそんな成功とは裏腹に、会社に身を捧げたアルミは浪費し、
やりたい放題。
一番の夢、理想郷「マメリッコ村」が計画倒れに終わり、
ますますムーディなアルミ。
そして、家族や社員も呆れ、味方もいなくなった彼女は、
酒に溺れ始めてしまいます。

これだけ成功を収めて、情熱を捧げても、
すべてがうまくいかないのは世の常。
仕事の才能はあっても、人間関係が…
というのはよく聞く話ね。
でも天才はこれくらい破天荒じゃなくちゃね。



成功する場面が一瞬すぎて「へ?」って感じ。
もう少しこってり見たかったな!
プロフィール

えみめも

Author:えみめも
映画や海外ドラマを見ることは私の癒やし。

映画以外の記事はinstagramにて↓
えみめも@emiemimemomemo

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